産廃の窓口

PCB(PCB廃棄物)の処分

文:産廃の窓口編集部公開:2026年6月24日更新:2026年6月25日

古い工場やビル、事業所の電気設備の中に、「PCB(ポリ塩化ビフェニル)」を含む機器が残っていることがあります。古い変圧器(トランス)やコンデンサー、蛍光灯の安定器などがその代表です。

PCBは人の健康や環境に影響を与えるおそれがあるため、法律にもとづいて、決められた期限までに正しく処分することが事業者に義務づけられています。

PCB廃棄物は「高濃度」と「低濃度」で扱いがまったく異なり、それぞれ処分のルートも期限も違います。

本記事では、PCBとは何か、自社に残っていないかの確認方法、そして高濃度・低濃度それぞれの正しい処分の進め方を整理して解説します。

PCBとは何か、なぜ処分が必要なのか

PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、人工的に作られた主に油状の化学物質です。燃えにくく、熱に強く、電気を通しにくい(絶縁性が高い)といった性質から、かつては幅広い機器に使われてきました。

どんなものに使われていたか

PCBは、その安定した性質から、おもに次のような機器の絶縁油などに使われていました。

  • 変圧器(トランス)
  • コンデンサー
  • 蛍光灯などの安定器
  • そのほか、熱を伝える媒体やノンカーボン紙など
工場・ビルの電気設備に残るおそれのある機器

なぜ問題になったのか

PCBは化学的に安定しているぶん、自然界で分解されにくく、人の体内に取り込まれると脂肪にたまりやすいという性質があります。1968年に起きた健康被害(カネミ油症事件)をきっかけに毒性が社会問題となり、1972年(昭和47年)に製造が中止されました。

しかし、それ以前に作られた機器の中には、今もPCBを含むものが残っていることがあります。分解されにくく環境や体に残るため、ただ捨てるのではなく、法律にもとづいて確実に処分することが求められています。

こんな事業者はとくに確認を

PCBは過去の機器に使われていたものなので、次のような事業者はとくに確認が必要です。

  • 古い工場・ビル・店舗を所有している、または引き継いだ
  • 古い高圧受電設備(キュービクル)がある
  • 古い建物の照明設備(蛍光灯の安定器)をそのまま使っている

「自社で新しく買った覚えはない」という場合でも、建物や設備を引き継いだときに、知らないうちにPCBを含む機器が残っていることがあります。関係しそうだと感じたら、まずは確認から始めましょう。

この記事で押さえること

PCB廃棄物の処分でいちばん大切なのは、次の3つです。

  1. 自社にPCBを含む機器が残っていないかを確認する
  2. 「高濃度」か「低濃度」かで、処分のルートと期限が違うことを知る
  3. 保管中は届け出て、期限までに正しく処分する

PCB廃棄物は「特別管理産業廃棄物」

PCBを含む廃棄物は、ふつうの産業廃棄物よりも厳しく扱われます。

2つの法律で扱われる

PCB廃棄物には、おもに次の2つの法律が関わります。

  • PCB特別措置法(ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法):2001年(平成13年)にできた法律で、PCB廃棄物を確実かつ適正に処理することを目的としています。保管・使用している事業者の届出や、期限内に処分する義務などを定めています。
  • 廃棄物処理法PCB廃棄物は、この法律でいう「特別管理産業廃棄物」にあたります。特別管理産業廃棄物とは、爆発性・毒性などがあり、人の健康や生活環境に被害を生じるおそれがある廃棄物のことで、ふつうの産業廃棄物とは別の、より厳しい管理が必要です。なお、産業廃棄物全体の種類は産業廃棄物の20種類で整理しています。

必要な届出

PCBを含む機器は、使っている間は「PCB使用製品」、処分する段階になると「PCB廃棄物」として扱われ、状態によって必要な届出が変わります。

  • PCB廃棄物を保管しているときPCB特別措置法にもとづき、前年度(3月31日時点)の保管・処分の状況などを、毎年6月30日までに、都道府県(政令市の場合は市)へ届け出ます。処分が済むまで毎年必要です。
  • 使用中の機器がPCBを含むと分かったとき別の届出が必要です。とくに低濃度PCBを含む電気工作物を使用している場合は、電気事業法(電気関係報告規則)にもとづき、設置場所を管轄する産業保安監督部遅滞なく届け出ます。設置者の変更・廃止・事故などのときも同様です。

届出先や時期は状態によって異なるため、自社の機器がどれにあたるか、迷ったら自治体や電気の専門家に確認しましょう。このほか、決められた期限までに処分する義務や、ほかの人へ勝手に譲り渡すことの制限もあります。

「特別管理産業廃棄物」だから管理が厳しい

PCB廃棄物が特別管理産業廃棄物にあたることには、実務上の意味があります。特別管理産業廃棄物を排出する事業者は、事業場ごとに特別管理産業廃棄物管理責任者を置くことが求められます。

また、運搬や処分を委託するときも、特別管理産業廃棄物に対応した許可を持つ業者でなければなりません。ふつうの産業廃棄物の許可とは別の許可が必要だ、という点が大きな違いです。

このように、PCB廃棄物は「危険なものを、決められた人・決められた業者・決められた施設で、確実に処理する」という考え方で扱われています。だからこそ、自己流ではなく、法律で定められたルートに沿って進める必要があるのです。

まず知っておくべきこと

PCB廃棄物の処分は、「自由に業者を選んで捨てる」というふつうの産業廃棄物とは進め方が異なります。高濃度か低濃度かによって、処分できる場所も期限も大きく変わるためです。なお、届出の様式や細かい手続きは自治体の窓口で案内されているので、迷ったら早めに相談しましょう。

「高濃度」と「低濃度」はまったく別物

PCB廃棄物の処分でいちばん重要なのが、高濃度PCB廃棄物低濃度PCB廃棄物の区別です。同じPCB廃棄物でも、処分できる施設も期限も違うため、まず自社のものがどちらかを知る必要があります。

高濃度PCB廃棄物と低濃度PCB廃棄物の違い

濃度による区分

濃度による区分は次のとおりです。

  • 高濃度PCB廃棄物PCBの濃度が0.5%を超えるもの。
  • 低濃度PCB廃棄物PCBの濃度が0.5%以下のもの(ごく微量でも、基準を超えてPCBを含んでいれば対象になります)。
  • なお、塗膜くずや感圧複写紙のような燃やせる汚染物(可燃性汚染物)については、10%を境に高濃度・低濃度を分ける、という別の基準があります。

この「0.5%を超えるかどうか」という線引きは、その後の処分の方法をまるごと左右する、いちばん大切な基準です。数値での判断になるため、見た目では分からず、後で述べる濃度の分析が必要になります。

それぞれの代表的な機器

  • 高濃度PCB廃棄物古い高圧の変圧器(トランス)・コンデンサー、蛍光灯の安定器など、PCBがそのまま使われていた機器。
  • 低濃度PCB廃棄物本来はPCBを使っていないはずなのに、微量のPCBに汚染された絶縁油が使われてしまった電気機器(「微量PCB汚染廃電気機器等」)や、低濃度のPCBを含む廃油など。

なぜ区別が大事なのか

高濃度と低濃度では、処分できる施設がまったく違い、処分の期限も別々に定められているからです。高濃度PCBは特別な処理施設でなければ扱えず、その処理体制も期限を区切って整備・運用されてきました。

一方の低濃度PCBは、国の認定や都道府県の許可を受けた民間の施設で処理されます。「PCBだから同じ」と考えると、相談する先も、間に合わせるべき期限も取り違えてしまいます。

そのため、PCB廃棄物の処分では、最初に「高濃度か低濃度か」をはっきりさせることが何より大切です。これが分からないと、その先の手続きが進められません。

自社にPCBが残っていないか確認する

「うちには関係ない」と思っていても、古い建物や設備を引き継いでいる場合、PCBを含む機器が残っていることがあります。まずは確認から始めましょう。

PCBを含む機器かどうかを確認する手順

どこを見ればいいか

PCBを含む可能性があるのは、おもに次のような機器です。古い高圧受電設備(キュービクル)や、古い照明設備が残っている事業所はとくに確認しましょう。

  • 変圧器(トランス)・コンデンサー古いものにPCBを使った製品があります。
  • 蛍光灯の安定器古い建物の照明に、PCBを使った安定器が残っていることがあります。

確認の手順

  1. 銘板(メーカー名・型式・製造年月)を確認する機器に貼られた銘板の情報を控えます。製造された年が古いものほど、PCBを含む可能性があります。
  2. メーカーや業界団体に照会する銘板の情報をもとに、メーカーや業界団体(電機・照明・医療機器などの団体)に問い合わせると、PCBを含む製品かどうかを確認できる場合があります。
  3. 判別がつかないときは濃度を分析する銘板だけで分からない場合は、絶縁油を採取してPCBの濃度を分析してもらいます。これにより高濃度か低濃度か、そもそも含まれていないかが分かります。

製造された年がひとつの目安

PCBを含むかどうかは、機器が作られた年がひとつの目安になります。一般的に、変圧器・コンデンサーは古い年代に製造されたものに、蛍光灯の安定器も古い年代に製造されたものに、PCBを使った製品があるとされています。

逆に、ある程度新しい年代以降に作られた機器であれば、PCBを含まないと考えられるものもあります。ただし、これはあくまで目安で、同じ年代でも製品によって異なります。

最終的には銘板の情報をもとにメーカーへ照会するか、濃度を分析して確かめるのが確実です。

なお、医療機関などにある古いエックス線装置などにも、PCBを含む部品が使われていた例があります。電気を使う古い設備が幅広く対象になりうるため、「電気室や古い照明・古い装置はひととおり確認する」という姿勢が安心です。

複数の事業場や建物を持っている場合は、機器を一台ずつ確認していくと抜け漏れが起きやすくなります。

事業場ごとに「どこに・どんな機器が・何台あるか」を一覧にまとめ、銘板の情報や濃度分析の結果を書き加えていくと、確認の進み具合と、まだ調べていない機器がひと目で分かります。

機器を取り外したり場所を移したりしたときも、この一覧を更新しておくと、その後の届出や処分の手配で混乱しにくくなります。

自治体の「掘り起こし調査」

PCBを含む機器の処分を進めるため、都道府県や政令市は、まだ把握されていない機器を見つけ出す掘り起こし調査を行っています。アンケートなどで確認を求められることがあるので、届いた場合はきちんと回答しましょう。

「分からないまま放置する」のが一番よくありません。まずは設備の銘板を確認し、不明なら専門家や自治体に相談することが、適正な処分への第一歩です。

なお、高圧設備の調査や絶縁油の採取は、感電などの危険があるため、電気の専門知識を持つ人(電気主任技術者など)に依頼するのが安全です。

確認した内容(機器の種別・製造年・濃度の分析結果など)は記録に残しておくと、その後の届出や処分の手続きがスムーズになります。

高濃度PCB廃棄物の「今」

高濃度PCB廃棄物については、処分の状況がこの数年で大きく変わりました。

JESCOが処理を担ってきた

高濃度PCB廃棄物は、国の関係する会社であるJESCO(中間貯蔵・環境安全事業株式会社)が、全国の事業所で地域ごとに処理してきました。民間の業者が自由に処理できるものではなく、処理できる場所が限られていたのが特徴です。

処分の期限はすでに終了している

高濃度PCB廃棄物には、地域ごとに「いつまでに処分するか」という期限が定められていました。そして、これらの地域ごとの期限は、すでにすべて終了しています

さらに、JESCOによる高濃度PCB廃棄物の処理の登録受付は、2025年(令和7年)10月15日をもって終了しました。つまり、現時点では、新たに高濃度PCB廃棄物をJESCOに持ち込んで処理してもらうことは、原則としてできません。

電気設備を点検・確認する専門業者の様子

もし今、高濃度PCBが見つかったら

「古い設備を片づけていたら、PCBを含むらしい機器が出てきた」という場合は、速やかに、保管場所を管轄する自治体(都道府県・政令市)に保管の状況を報告してください。自己判断で処分したり、放置したりしてはいけません。

期限や受付が終了しているからといって、勝手に捨てることはできません。見つかった場合の対応は自治体が案内するので、まずは相談することが大切です。

なお、自社の機器が高濃度なのか低濃度なのか分からない場合も、前章の確認(濃度分析など)を行ったうえで、自治体に相談しましょう。低濃度であれば、次章のとおり、まだ処分のルートがあります。

なぜ「期限」が設けられていたのか

高濃度PCB廃棄物に地域ごとの期限が設けられ、処理施設も期間を区切って運用されてきたのは、長く保管され続けることのリスクを避け、国全体で計画的に処理を終わらせるためでした。

保管が長引くほど、容器の劣化による漏れや、機器の所在が分からなくなるといった問題が起きやすくなります。だからこそ、まだ見つかっていない機器を早く把握し、期限内に処理する取り組みが進められてきました。

すでに期限を過ぎている今は、「新たに見つかったら、放置せず、すぐ自治体に相談する」ことが何より重要です。なお、高圧の機器を設備から取り外す作業は危険を伴うため、電気の専門家や対応できる業者に任せましょう。

PCB」に対応できる産廃業者を探す

エリアを選ぶだけで、PCBの収集運搬の許可を持つ業者の一覧を表示します。

低濃度PCB廃棄物の処分

低濃度PCB廃棄物は、高濃度とは別のルートで処分します。そして、処分の期限が近づいているため、早めの対応が必要です。

処分の期限は2027年3月末

低濃度PCB廃棄物の処分の期間は、2027年(令和9年)3月31日で終了します。この記事の時点ではまだ期限内ですが、残された時間は多くありません。確認・準備・処分には時間がかかるため、「まだ先」と考えず、早めに動き出すことが大切です。

どこで処分するか

低濃度PCB廃棄物は、次のいずれかの施設で処理します。

  • 環境大臣の「無害化処理認定」を受けた施設
  • 都道府県知事などの「許可」を受けた施設

高濃度のJESCOとは違い、低濃度は国の認定や都道府県の許可を受けた民間の施設で処理されます。どの施設に出せるか、収集運搬を含めてどう手配するかは、施設や業者、自治体に相談して進めます。

無害化処理認定施設は全国にいくつもありますが、施設によって受け入れられる廃棄物の種別や条件が異なります。

自社のPCB廃棄物(汚染された機器なのか、廃油なのかなど)に対応している施設・業者を選ぶ必要があるため、まずは自社の廃棄物の内容を整理してから相談するとスムーズです。

対応できる施設や業者が分からない場合は、自治体の窓口でも案内を受けられます。

期限に向けて今やること

低濃度PCB廃棄物を持っている、または持っている可能性がある場合は、次の順で進めましょう。

  • 確認する自社の機器が低濃度PCBに当たるか、濃度分析などで確かめる。
  • 届け出る保管している間は、毎年の届出を行う(使用中にPCB含有が分かった機器は産業保安監督部への届出が別途必要)。
  • 処分の手配をする処理してくれる認定・許可施設や、収集運搬の業者を探し、期限内に処分する。

低濃度は「気づかないうちに持っている」ことがある

低濃度PCB廃棄物のやっかいなところは、本来はPCBを使っていないはずの電気機器が、微量のPCBに汚染されている場合があることです。

製造の過程で、PCBを含む絶縁油が混ざってしまったものなどが該当します。

見た目では分からないため、「古い電気機器がある」「絶縁油を使う機器がある」という場合は、低濃度PCBの可能性も念頭に置いて確認するのが安全です。

収集運搬の手配も必要

処理してくれる施設が決まっても、そこまで運ぶ収集運搬の手配が別に必要です。PCB廃棄物の運搬には特別な許可が要る(次章で解説します)ため、施設と運搬の両方を見据えて、早めに相談・手配を進めましょう。

期限が近づくと、処理の依頼が混み合うことも考えられます。高濃度PCB廃棄物の期限がすでに終了したのと同じように、低濃度の期限も過ぎてしまうと正規のルートで処分しづらくなるおそれがあります。余裕をもって早めに相談・手配するのが、確実に期限内へ間に合わせるコツです。

処分するまでの「保管」のルール

PCB廃棄物は、処分するまでの間も、決められたルールに沿って保管する必要があります。「処分待ち」の状態でも、守るべきことがあります。

毎年の届出を忘れない

前にも触れたとおり、PCB廃棄物を保管している事業者は、前年度の保管・処分の状況などを、毎年6月30日までに自治体(都道府県・政令市)へ届け出る義務があります。これは保管している限り毎年必要です。届出を続けることで、自治体も状況を把握でき、処分に向けた案内も受けやすくなります。

きちんと保管する

PCB廃棄物は特別管理産業廃棄物なので、保管にも基準があります。一般的には、次のような点に気をつけて保管します。

  • 容器に入れるなどして、飛び散ったり、漏れたり、しみ出したりしないようにする
  • ほかのものと区別し、PCB廃棄物であることが分かるように表示する
  • 関係のない人が触れないよう、囲いを設けるなどして管理する

油が漏れると周囲を汚染するおそれがあるため、定期的に状態を確認し、容器の劣化などにも注意します。

とくに長く保管している機器は、容器やパッキンが傷んで油がにじむことがあるため、置きっぱなしにせず、ときどき目で見て確かめることが大切です。

万一漏れが見つかった場合は、被害が広がらないよう応急の対応をとり、自治体や対応業者に相談しましょう。

勝手に譲り渡さない

PCB廃棄物は、決められた処理のルート以外で、ほかの人へ勝手に譲り渡すことが制限されています。「知り合いの業者に引き取ってもらう」といった自己流の対応はせず、必ず正規のルート(高濃度は自治体への相談、低濃度は認定・許可施設)で処分しましょう。

保管はあくまで「処分までの一時的な状態」です。届出を続けながら、期限内の処分に向けて準備を進めることが大切です。

処分・委託の進め方

PCB廃棄物の処分に向けて今やること

全体の流れ

  1. 確認する自社の機器がPCBを含むか、高濃度か低濃度かを確かめる。
  2. 届け出る・相談する保管中は毎年届け出る。高濃度が見つかった場合は自治体へ報告し、案内に従う。
  3. 処分のルートを決める高濃度は自治体に相談(JESCOの受付は終了済み)。低濃度は無害化処理認定施設・都道府県許可施設で処理する。
  4. 収集運搬・処分を委託する許可を持つ業者と契約し、運搬・処分してもらう。
  5. マニフェストで確認・保管する処理が終わったことを管理票で確認し、控えを保管する。

収集運搬は「特別管理産業廃棄物」の許可が必要

PCB廃棄物は特別管理産業廃棄物なので、運ぶ業者にも特別管理産業廃棄物の収集運搬の許可が必要です。ふつうの産業廃棄物の許可とは別物なので、依頼する業者がPCB廃棄物(特別管理産業廃棄物)に対応しているかを必ず確認しましょう。運搬の際は、漏れない容器を使うなど、安全への配慮も求められます。

マニフェスト(管理票)で最後まで見届ける

委託するときは、特別管理産業廃棄物の管理票(マニフェスト)を交付し、処理が完了したことを示す控えを受け取って保管します。これにより、出したPCB廃棄物が最後まで適正に処理されたことを確認できます。

時間に余裕をもって進める

PCB廃棄物の処分は、確認・分析、施設や運搬業者の手配、契約、搬出と、いくつもの段階を踏みます。それぞれに時間がかかり、とくに低濃度の期限が近づくと依頼が混み合うことも考えられます。「期限ぎりぎりに動く」と間に合わないおそれがあるため、確認の段階からできるだけ早く着手するのが安全です。

PCB廃棄物の処分は手続きが多く、専門的に見えますが、「確認 → 届出・相談 → 正しいルートで委託 → 管理票で確認」という流れは共通です。

分からない点は自治体や対応業者に相談しながら、確実に進めましょう。低濃度PCB廃棄物の収集運搬や処分を依頼できる業者を探す際は、特別管理産業廃棄物に対応しているかを確認のうえ相談してください。

費用の考え方

PCB廃棄物の処分にかかる費用は、状況によって大きく変わります。一律の金額を示すのは難しいですが、費用に影響するおもな要素は次のとおりです。

  • 確認・分析の費用PCBを含むか、高濃度か低濃度かを調べるための濃度分析などにかかる費用です。
  • 機器の種別・大きさ・台数変圧器・コンデンサーのような大きく重い機器か、安定器のような小さなものか。数が多いほど運搬・処理の手間が増えます。
  • 収集運搬の費用保管場所から処理施設まで運ぶ費用です。特別管理産業廃棄物に対応した運搬が必要になります。
  • 処理の費用処理施設で無害化するための費用です。濃度や機器の種別によって変わります。
  • 保管・取り外しの費用機器を設備から取り外す作業や、処分までの保管にかかる費用が生じることもあります。

このように、PCB廃棄物の処分費用は「分析」「機器の種別・量」「収集運搬」「処理」などの組み合わせで決まります。

まずは自社にどんな機器がどれくらいあるかを把握し、対応できる業者や施設、自治体に相談して見積りを取るのが、費用を正しく見通す近道です。

なお、PCB廃棄物の処理について、費用負担を軽くするための支援の仕組みが用意されている場合もあるため、自治体の窓口で確認するとよいでしょう。

よくある疑問と注意点

最後に、PCB廃棄物の処分でつまずきやすい点や、誤解しやすい点をまとめます。

  • 「うちには関係ない」と思い込む古い建物や設備を引き継いでいる場合、PCBを含む機器が残っていることがあります。まずは銘板の確認から始めましょう。
  • 高濃度と低濃度を混同する両者は処分できる施設も期限も別物です。自社のものがどちらかを、濃度分析などではっきりさせることが先決です。
  • 「期限が過ぎた高濃度」を自己判断で捨てる高濃度の期限やJESCOの受付は終了していますが、だからといって勝手に処分はできません。見つかったら自治体へ報告し、案内に従います。
  • 低濃度を「まだ先」と後回しにする低濃度の処分期間は2027年(令和9年)3月31日までです。確認・手配には時間がかかるため、早めに動くことが大切です。
  • 届出を忘れる保管している間は、毎年の届出が必要です。処分が済むまで続けましょう。
  • ふつうの産廃業者に頼んでしまうPCB廃棄物の運搬には特別管理産業廃棄物の許可が必要です。対応できる業者かを必ず確認しましょう。

PCB廃棄物の処分は、「確認する」「高濃度か低濃度かを見極める」「届け出て、正しいルートで処分する」という流れを押さえれば、順を追って進められます。専門的な判断が必要な場面では、自治体の窓口や対応業者、電気の専門家に相談しながら進めるのが安全です。

よくある質問(FAQ)

Q. PCBはどんな機器に含まれていますか?

古い変圧器(トランス)、コンデンサー、蛍光灯の安定器などに使われていたことがあります。とくに古い高圧受電設備や古い照明設備が残っている事業所は、確認が必要です。

Q. 自社にPCBがあるかどうか、どう調べればいいですか?

まず機器の銘板(メーカー名・型式・製造年月)を確認します。そのうえでメーカーや業界団体に照会したり、絶縁油の濃度を分析したりして、PCBを含むか、高濃度か低濃度かを確かめます。判断が難しい場合は、電気の専門家や自治体に相談しましょう。

Q. 高濃度PCBはまだ処分できますか?

高濃度PCB廃棄物の地域ごとの処分期限はすでに終了しており、処理を担ってきたJESCOの登録受付も2025年(令和7年)10月15日で終了しています。新たに見つかった場合は、自己判断で処分せず、速やかに自治体へ保管の状況を報告してください。

Q. 低濃度PCBの処分期限はいつですか?

低濃度PCB廃棄物の処分の期間は、2027年(令和9年)3月31日で終了します。確認や手配に時間がかかるため、早めに準備を始めることをおすすめします。

Q. 保管しているだけでも何か手続きは必要ですか?

はい。PCB廃棄物を保管している事業者は、前年度の保管・処分の状況などを、毎年6月30日までに自治体(都道府県・政令市)へ届け出る必要があります(処分が済むまで毎年)。なお、まだ使用中の機器がPCBを含むと分かったときは別の届出が必要で、低濃度PCBを含む電気工作物の場合は産業保安監督部へ遅滞なく届け出ます。

Q. 普通の産業廃棄物の業者に頼んでもいいですか?

PCB廃棄物は特別管理産業廃棄物にあたり、運搬には特別管理産業廃棄物の収集運搬の許可が必要です。依頼する業者がPCB廃棄物に対応しているかを必ず確認してください。

まとめ:まず確認、そして期限内に処分

PCB廃棄物の処分は、専門的に見えますが、やるべきことの順番は決まっています。次の流れで進めましょう。

  1. 確認する古い変圧器・コンデンサー・蛍光灯の安定器などがないか、銘板を確認する。分からなければ濃度分析や専門家への相談で、PCBの有無と「高濃度か低濃度か」を見極める。
  2. 区別する高濃度と低濃度は、処分できる施設も期限もまったく違う。自社のものがどちらかをはっきりさせる。
  3. 正しく処分する高濃度は期限・JESCOの受付が終了済みのため、見つかったら自治体へ報告して案内に従う。低濃度は2027年(令和9年)3月31日の期限までに、無害化処理認定施設・都道府県許可施設で処分する。
  4. 保管中は届け出る処分が済むまで、毎年の届出を続ける。

とくに低濃度PCB廃棄物は、期限まで時間が限られています。確認・分析から処分までには、いくつもの段階と手配が必要です。「まだ先」と考えず、まずは自社の設備を確認することから始めてください。早く動き出すほど、選べる業者や施設にも余裕が生まれ、落ち着いて進められます。

なお、低濃度PCB廃棄物の収集運搬や処分を業者に委託するときは、特別管理産業廃棄物に対応した許可を持つ業者かどうかを必ず確認してください。判断に迷うところは、自治体の窓口や電気の専門家に相談しながら進めるのが、確実で安全な進め方です。

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免責事項

本記事は産廃の窓口編集部が、環境省・経済産業省などの公的資料や関係法令をもとに作成した一般的な情報提供です。 特定の処理方法・費用・法的判断を保証するものではありません。許可の有無や制度の詳細、料金は、必ず各自治体・公式情報および各事業者へ直接ご確認ください。 掲載内容は記事作成・更新時点のものです。

この記事について

文・編集
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